商い見せます

『商い見せます』は、大阪同友会会員企業の商売をご紹介するコーナーです。会員向けの月刊誌「OSAKA 中小企業家」で2017年4月までご紹介していました。過去のバックナンバーはこのページの一番下にPDFにて掲載しています。

地域の強みを生かす【つなげる力つなぐ技】

あの人に聞く

社内外の方々と共に発展
共生できる企業づくりをすすめていきたい

株式会社シンエイ 代表取締役 鐘森 雅之

地域の強みを生かす【つなげる力つなぐ技】

~理念に掲げる“共生”の実践は「好ましい企業風土づくり」にあった~ものづくりの街・東大阪といえば、製造業ばかりがクローズアップされがちですが、その卓越した技術力や生産方法で作り上げたものを世に送りだすには、流通やサービス業といった産業の活躍が不可欠となります。「車で半時間この街を回ればものが作れる類まれなものづくり集積地」と話されるのは東大阪でネジ等の締結部品の販売・コンサルタント業を営んでおられる「株式会社シンエイ」の鐘森雅之社長です。取扱品のネジにちなんで理念に掲げた「つながる力つなぐ技」を実践しようと、取引先や地域社会の方々との共生関係に注力してきました。また職場環境にも共生を意識した取り組みを実践し、本年度東大阪市CSR経営人権・労働部門の奨励賞を受賞されています。

締結部品にこだわる

株式会社シンエイは先代(義父)が1971年に創業、東大阪に社屋を構えて38年になります。創業以来ネジ等の締結部品の卸販売を主としてきました。販売先は関西を中心に、メーカーとの直取引がメインで、品目は既製品ネジより特殊金属挽物加工と呼ばれる規格外の別注品の取り扱いを主流にされています。昔はミシンやカメラの周辺部品に使われる汎用品が多かったようですが、今は電子部品や検知器等に使われる精密ネジをメインに扱っておられます。昨年もあるメーカーより水素ガス検知器に使用するネジに同友会会員が取り扱う高耐食メッキ「ジコラム」を提案。顧客の要望に加工先の技術を重ねて実験を繰り返し、ライバルの大手企業を抑えジコラムが採用されるに至りました。

大企業から転職

シンエイに務めるまでは22年間、大手企業で勤務されていましたが、2006年、奥様のお父様が創業されたシンエイの事業継承を要請され入社。4年前に代表取締役に就任しました。「働く人が主人公であるべきであり、とりまくステークホルダーとの“共生”をめざす企業姿勢に転換することが、昨今の経済活動に漂う閉そく感を脱却する鍵になるのではないか?」効率・生産性重視の前企業では、このような観点はいわゆる「非主流」であり、担当業務であった企業理念の再構築を役員会に答申した際も否決されます。もんもんと感じていたこのときの思いが、シンエイの経営理念の軸にある「共生」に込められています。

東大阪市より表彰

昨年1月よりCSR(CorporateSocialResponsibility:企業の社会的責任)活動に着手されます。きっかけは支部の例会リハーサルでした。就労支援事業所の経営者の報告で、障がいと捉えず個性とし多様性を生かした共生の考え方に我が意を得たりの心境で聴き入りました。ひるがえって自社の経営理念と照らし合わせた時、あれほどの思いで掲げておきながら、はたして自身が社長になって社員や地域と共生・発展する関係を「具体的な形」にできているか?との猛省がこみ上げ、その場を動けなかったそうです。
前職場で違和感を感じた法定雇用率クリア目的のために義務的に障がい者を受け入れる姿勢が多くの大企業でも散見される一方で、就労支援事業所の小さな施設が障がい者の自主・自立を心から願い、社員や地域と密接な関わりの中で、相互の発展をめざす姿を目の当たりにし、ぼんやりと思い描いていた共生関係の具体的な形を示された思いでした。
自社の社是が「一隅を照らす」ならば、自社でできることからまず形にしていこう。以前よりネジの袋詰め等の作業を地元就労支援事業所へ委託していたことや、その事業所から職場体験を数年来、受け入れていた素地があったため、雇用に向けた社内の合意は容易でした。厚生労働省の「障がい者トライアル雇用奨励制度」を活用し4月には1名の障がい者を正社員として迎え入れました。
反復作業にムラがないことや、検品作業は健常者より厳格などの長所を活かすことで業務上の成果も表れてきました。何よりもこれを機会に朝礼による業務確認が実施され、各人の業務状況を全員が掌握できるようになったことで【報告・連絡・相談】の重要性を全員が再認識し、これに波及した日常会話が日に日に増えていきました。
ことに障がいをもつ社員自身がリーダー役となって整理・整頓・掃除の3S活動に取り組んだことで、この様子に触発された既存社員が3Sを継続化・簡便化させる社内ノウハウ導入を望むような意識改革が起こります。同友会の仲間に相談し数度の現場視察を体験させていただき、12月にはKES(環境マネジメントシステム)の認証にこぎつけPDCAの管理サイクルが社内に導入されます。
これに合わせて実施した作業場・水回り場の改装、照明増設、分煙のルール化といった職場改善が評価されるなど、劇的な経営環境の変化が認められ、思いがけず6月に「大阪府障がい者サポートカンパニー優良企業認証」を、本年2月には「東大阪市CSR経営人権・労働部門奨励賞」の受賞に至りました。

今後の取り組み

障がい者雇用は今後とも継続しますが、基盤となる会社の存続も大きな経営課題です。双方の課題に対処すべく、本年度中に自身が障がい者でありながらも管理職経験がある人材を正社員として雇用し課題の改善に挑みます。
短期的には来期中に就業規則を再整備し、有給休暇付与と週休2日制を完全実施に切り替え、制度の面からも継続的に働ける職場環境を整える計画です。
長期的には、経営理念~指針に則って実施中の環境マネジメントや3Sの方針に即した企業活動を継続実施し、社内外の方々と共に発展、共生できる企業づくりをすすめていきたいと思っているとのことでした。

~ 取材を終えて ~

新年度を迎え東大阪に三つの新しい支部が誕生しましたが、その一角である東大阪第2支部の支部長に就任した鐘森さんは2年前、機構改革の流れに沿って八尾支部から事業所のある東大阪に戻ってこられました。今回、支部長を引き受けるにあたって東大阪では人脈がないのでと当初は就任を渋っておられました。物腰の柔らかい姿勢は小グループ内でも人望を集め「鐘森さんを盛り上げよう」と協力者が続出、たちまちその不安は解消されていきました。
取材時に大企業からシンエイに入社した時、役立ったことは?と質問したところ「前職では長年、仕組み(組織)づくりを専任していたので小人数の自社ではその経験を生かすことは皆無でした」と語っておられました。しかしCSR経営に着手し社員数が増えてきた現在、鐘森さんの培ってきた組織づくりの手腕の見せどころです。そのことは新支部である東大阪第2支部の支部づくりも同様です。企業づくりと同友会づくりは表裏一体といわれます。
今回の取材で鐘森さんから「共生」の言葉がたくさん聞かれました。生き様として大切にされている共に生きる心に感銘を受けました。株式会社シンエイと東大阪第2支部の今後の発展にワクワク感が増してきます!注目の“辞書の一ページ”です。
情報化・広報部:鍛冶谷

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