コラム・商い見せます


『商い見せます」は、大阪同友会会員企業の商売をご紹介するコーナーです。
会員向けの月刊 誌「OSAKA 中小企業家」で紹介した記事を掲載しています。


大切な資源のリサイクル〜地球環境保全の取り組みを天職として〜



 大阪の中心部、梅田の近くに近畿産業本社工場、製紙原料の集荷選別加工場があります。真ん中に設置されたベルトコンベヤーを分別された古紙が昇っていき、圧縮機にかけられると1 トンベースの四角の塊となり隣のスペースに積み重ねられていきます。ダンボール、新聞、雑誌などの古紙は同じ種類で集められ、リサイクルの行方に従って新たな紙の原材料として製紙会社へと販売されていきます。
 その創業、役割は明治からと非常に古く、またこれからの地球環境問題においては欠かすことのできない新しいテーマを持った産業として、近畿産業は世の中のニーズを担ってきました。資源を大切にする取り組みから種々の付帯事業を展開し、地球環境保全への道を一途に辿っていく会社経営をご紹介します。

近畿産業(株)
代表取締役
傍島 真 氏
(新北支部)

●古紙リサイクル事業の展開

 創業は明治18年、古紙回収販売業、山田商店として発足130年に及び、また終戦後の昭和23年には近畿産業株式会社に組織変更、現在に至ります。
 近畿産業の生産能力は本社工場、長田工場を合わせて年間30,000トンに上ります。古紙回収先のトップは印刷会社、製本会社などで、そこからの運搬を業とする協力会社の回収が85%。自社にて引き取りが15%。それはデパートや契約オフィスから回収されます。分別圧縮後、原材料の用途に応じた販売先は、商社経由による中国や東南アジアへの輸出が20%。国内需要は北海道から九州までの製紙会社が80%です。
 紙の生産は「紙1トンに100トンの水」といわれ大量の水を必要とします。水が豊富な静岡県富士市、愛媛県四国中央市などの製紙会社へ主に出荷されます。リサイクルは全世界の森林資源の伐採を少しでも減らし、次世代へと受け継がれる美しい地球の自然保護を望む精神により成り立つものと、その価値を信じています。

●1円のシンボルマーク

 「このマークを見て何に見えますか」傍島さんの問いかけに、取材側はじっと会社概要のマークを見ました。近畿産業という社名から木が生え、ECOLOGY(エコロジー)と結んであります。「資源を大切にする、という木のマークですか」と答えましたが、種明かしは1円の表デザインでした。「近畿産業から木が生まれている。古紙を利用すれば木を切らなくてもよいのではないか。1円のもったいなさを知ることからリサイクルが始まる」と語りました。ここの新入社員研修ではこのマークの意味につき熱を入れて伝えています。
 IT革命の取りざたも今は昔、パソコンなしでは仕事はできないという最近の動向で、新聞を読むのも、本を読むのもデジタル化されていく中、近い将来2050年には紙媒体が2分の1になるといわれているそうです。これからは万全と思う一方、逆の心配も出てきました。紙の需要が落ち込むことがある場合に備えて多角的に業務を改革してきました。

●機密文書細断サービス

 個人情報の保護に関する法律が平成15年に施行され、どの企業においても顧客情報の漏れや預かり文書の始末に神経を使い注意を払ってきました。不要の書類を焼却するに当たっては焼却炉を持つ会社も少ないし、普通に古紙として出すには抵抗があります。そこで近畿産業では大型細断機を導入し、パピルスネットワークとして機密文章の引き取り細断サービスを業務に加えました。
 エコアクション21の認定工場としては二酸化炭素の発生を伴う焼却より、細断して再び紙として利用できる方法が理想であり、機密漏えいのリスクを背負わないとして顧客からも重宝されています。また更に業務を拡大しオフィス家具、OA機器、パソコンなどをまるごと回収するサービスを加え、ビニールやプラスチックなど産業廃棄物の処理も業務にしてきました。

●食べ物を重視する自然農園

 近畿産業の環境活動・社会への責任(CSR)の一環は赤目自然農塾です。二代前の社長、傍島咲子氏が自然農を啓発する川口氏との出会いにより影響を受け、平成3年に発足しました。コンクリートに囲まれた大阪から子どもたちを連れてきて、自然に触れさせるための道場として開かれました。常時60人くらいの人々が親子で、ご夫婦で参加しています。赤目四十八滝の山手に棚田を買い、観光農業として有効活用し米を作ります。早春には種まきで苗代作り、田植えから稲刈りまでの間に農業としては過酷な夏の草取りもあります。この農法は耕さず、肥料も与えない、農薬も使わない自然農。人にも環境にもやさしい農法です。作る米は赤米。これは稲穂のとげでイノシシやシカが嫌がり、荒らされにくい種類だとか。生き物とふれあい、自然の営みを学ぶ場所となり、海外や日本各地からも学びに来られるそうです。新卒入社の社員は田植え、稲刈り、脱穀まで手伝い。来年は草刈、草取りも手伝ってもらおうかと思っています。古紙が少なくなる中で、自然、資源を大切に、こんな思いを持つ人を育てていかなければならないと思っています。
 その他本社ビル1階では自然食品店「パラディーテレステ」も営業しています。

●将来のビジョン

 現在従業員数は18名。毎年の雇用を継続して40名くらいの総勢になれば新規分野の開拓にも手を付けたいそうです。同友会の合同求人にも参加しています。新入社員には、入ってから1年以内に製紙会社の見学をしてもらい、自分の業務活動が本当にリサイクルとなっているかの確認をすることで随分と捉え方が変わってくるといいます。職業としてやるだけでなくその本質を学び、物を大事にする人を育てていきたいと語りました。

〜 取材を終えて 〜
 家庭から出る僅かの古紙もグループで集めると大きな分量になります。業務上で出た古紙は大量です。集荷選別し加工することにより原材料として次の生命が与えられる、地球レベルの大きなニーズを掲げ、次世代も必ず必要とされる産業であることを感じました。
 大学卒業後、大手鋼管会社に勤めていた傍島さんは義父にあたる先代社長から会社を継ぐことを懇願され大いに悩んだそうです。そのときの社是、経営信条には社会から与えられた一つの仕事を天職として全うするとうたわれており、心にしみました。そして3年前、代表取締役を引き継いだ傍島さんの経営理念には、資源の大切さと環境にやさしく人々に信頼されること、感謝と敬愛、企業の進歩向上を掲げられています。この仕事を天職とするゆるぎない社長の理念でした。

Profile
企業名: 近畿産業(株)
所在地:
( 本社ビル) 大阪市北区中崎町
( 本社工場) 大阪市北区南扇町
( 長田工場) 東大阪市長田西
設  立:昭和23 年
資 本 金:5,000 万円
事業内容: 製紙原料の集荷選別加工販売
     産業廃棄物収集運搬
     自然食品の販売
     不動産保全及び賃貸

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自社商品の研究開発と独自化で他社を突き放す戦略



 株式会社ダイレオは東住吉に本社があり会長が天王寺支部、社長が東住吉支部に所属している勉強熱心な企業です。公衆浴場やその他のパブリックな浴場用の設備機器の部材メーカーで、スイミングプール全般からスーパー銭湯や工場内の給湯システムまで広範囲な商品ラインナップを取り揃えています。販売先は日本だけにとどまらず、最近では海外にも力を入れて営業活動されています。新規雇用や障がい者雇用にも取り組まれていて社員教育も実直に行っています。
(株)ダイレオ
代表取締役社長
中山 健太 氏
(東住吉支部)

●企業の成長と発展のために

 企業の発展には新卒雇用が大切だと先輩会員からアドバイスされ、その企業にならって毎年1 〜 2人の雇用活動をしています。そして、新入社員研修もあわせて受講するように心がけています。同友会外の研修なども活用して中堅社員のリーダー研修も受講しています。成長段階ではありますが三位一体の経営に着手しています。本社、東京支社、名古屋支社、仙台営業所を合わせると社員数30人になりました。

●確かな商品の開発と提供

 デイサービスの施設にもアクアジムが導入されていて、スーパー銭湯に近い設備が導入されています。アクアジムが老人にとってリハビリの運動に使われて喜ばれています。アクアジムが介護施設やスーパー銭湯で売れる中、岩盤浴のベッドなども開発し岩盤浴の直営店も営んでいましたが、ブームが去り現在は撤退しています。また、スーパー銭湯のブームも一時期ほどではなくできたと思ったら無くなり、入れ替わりの激しい業界となっています。ただ、ダイレオとしては新しい施設ができるごとに商品が納入できるチャンスでもあるので、ブームが落ち着いていても仕事にはつながっており、売り上げは伸びています。ダイレオが扱う商品は耐久性に優れており、めったにつぶれることがありません。施設ができるときに沢山の商品が納品できても、メンテナンス契約ができないところが課題となっています。自社商品がライバルとなってしまうのでしょうか。そのため、メンテナンス性の高い商品の開にも力を入れています。新たな商品を開発することで、従来とは違った業種へのアプローチに余念がありません。メンテナンス性が必要な商品としては蒸気を活用する経済的な給湯ユニットが、工場の給湯システムに使われています。市場が小さいために扱っているメーカーが少なく、小回りを利かせて安全性をうたい商品力を強化しています。

●かゆいところに手が届く販売戦略

 創業当初は単に商品を部材として販売することが多かったのですが、最近はいろんな商品を組み合わせて、システム提案をするようになりました。そうすることで設計の簡易さや施工業者さんの手間を省けています。ホームページ作成時には会員登録をホームページ上でしてもらうと、その図面がダウンロードできるようにして設計士さんが扱いやすくするシステムの導入もしました。弊社としては部材がどこに使われているかというより必要であればどこに使われようとも、設計士さんが施主さんに提案がしやすい仕組みを構築することで販路を広げています。そして弊社を知ってもらうために展示会にも力を入れています。また、営業方法としては直接工場に出向いても門前払いされるので、まずはパンフレットなどの資料を添えてダイレクトメールを工場に送ったりします。OEMで販売する商品は売り上げが薄くなるので扱わず、自社商品以外の部材に関しては協力企業を紹介するように心がけています。以前は他社商品も扱ったりもしたのですが、営業活動を行う中でどうせ動くなら、自社商品のために営業した方が利益も上がるし、何より営業マンの力の入れようも変わってきます。

●海外展開の軌跡

  東南アジアを中心に視察を兼ねて、アクアジムの代理店の開拓を行っています。そして、今後は中国での展示会を定期的に行い認知度を上げる活動をしていきます。2年前ベトナムに行って気づいたことがあります。暑い国では湯船に浸かって温まる習慣が無いことでした。よく考えてみたら分かるのですが、暑い国ではシャワーで十分なのです。それを教訓に中国に目を向けました。中国には日本人経営のスーパー銭湯が成功を収めました。中国入りする際に弊社の部材を導入してもらおうと営業をかけたのですが、簡単には扱ってもらえませんでした。中国でスーパー銭湯が営業し始めると、幸い中国製の部材がつぶれました。その結果、3件目にはじめて弊社の部材が導入されました。また、タイでの視察でもやはり、介護施設も少なく暑い国ということで需要はなさそうでしたので、現在は病院中心に引き合いが無いか営業先を模索しています。


〜 取材を終えて 〜
 スイミングプール、温浴施設の部材メーカーという特殊な業界で売り上げを伸ばす企業を訪問しましたが、ダイレオの攻める姿勢を感じられました。業界の外部環境に迅速に対応し、変革しながら従来製品もきっちり扱い様変わりする世の中の動きに見事に追従していることがわかりました。そして、商品開発に力を注ぎ、更なる営業力の強化のため海外展開を語る中山氏の様子は将来の希望の実現の確かさを感じました。
 私も含め学んだことをなかなか実践できない企業が多い中、学んだことを着実に自社に落とし込み、アクティブに立ち回るダイレオに触発された取材でした。私も自社のペースで1歩また1歩下がることなく、前に進みたいと思います。

Profile
企業名:( 株)ダイレオ
所在地:
( 大阪本社) 大阪市東住吉区中野
( 東京支店) 東京都台東区根岸
( 名古屋支店) 愛知県名古屋市中川区八田本町
( 仙台営業所) 宮城県仙台市青葉区水の森
( 研究工場) 大阪市住之江区西加賀屋
創  業:昭和51 年1 月
社 員 数:30 名
事業内容: 公衆浴場やその他のパブリックな浴場用の部材やリハビリ設備機器メーカー及び工場用スチーム給湯器販売とメンテナンス

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