コラム・あの人に聞く


〜 強靱な企業づくりをすすめる会員の取り組み 〜
月刊誌特集 I では、会内外で活躍する会員を毎回紹介します。会員の経営する企業の取り組みや、経営者である会員自身の企業経営に対しての考え方などを知ってもらうことで、同友会が目指す企業像、経営者像、そして中小企業と社会との関わりへの理解を深めてもらえることを期待しています。第18回は、大阪同友会 副代表理事の杉原五郎氏です。

都市計画、シンクタンクってわかりますか?
 アルパックは、シンクタンク、都市計画とまちづくり、建築設計が主たる業務です。地域が直面している問題を抽出・分析し、地域の課題を解決するプランをデザインします。そして、そのプランを具体化し事業化までトータル的にサポートすることを仕事にしています。

アルパックの創業と当時の姿
 アルパックは、京都大学の建築学科で教授をしていた住宅問題の第一人者の西山卯三先生のもとで学んだ三輪泰司氏(現名誉会長)が創業者です。西山先生の考えをもっと知りたい、学びたいという建築家たちが、全国から京都に集まり、京都大学の東にある吉田山山麓の長屋の一つを改装し「アトリエ・アルパック」として1967年にスタートしました。創業メンバーは大阪の千里で開かれた「日本万国博覧会(1970年)」の会場計画に参画しましたが、博覧会場のプランニングだけでなく、西山研究室に依頼された地域の計画にもかかわっていましたので「地域計画」が社名に入っています。
 杉原さんは、京都大学工学部土木工学科修士課程(土木工学専攻)を修了後、都市計画・都市開発の仕事を希望して日本住宅公団を志願しました。しかし、募集枠からはみ出て入社できず、先輩や友人に相談したところ都市計画をしている会社があると紹介され、1974年に株式会社地域計画建築研究所(アルパック)に入社しました。当時は創業して7年目で20数名の会社でした。西山先生のもとで都市計画やまちづくり、建築設計の仕事ができることに喜びを感じてアルパックに集まった、若者の集団でした。

業務としての都市計画の実際
 アルパックへ入社後すぐに一人で住宅公団の仕事を任され、公団の人に「なんでお金払って教えなあかんねん」と嫌みを言われながら仕事をしたのが懐かしいと杉原さんは言います。大学の土木工学科で学ぶことの多くは、河川工学、港湾工学、道路工学、空港計画などで、どちらかというと、都市計画はマイナーな分野でした。それでも、わからないことは率直に聞き、町役場の人たちからも信頼を得ることができました。今になって振り返ると、民間の企業で都市計画とまちづくりの仕事ができてよかったそうです。もし、住宅公団で都市計画や都市開発の仕事をしていたら、今のように自由な発想でまちの課題解決はできなかったとのことです。
 アルパックでは「儲ける」というよりも「いいまちづくり」をめざしているので、予算の中で最善を尽くすこと、企業である限り損はできませんが、いい結果を残したい、そういった思いで仕事をしています。これは、全社員が心掛けています。

同友会とのかかわり
 1989年7月に、杉原さんは取締役大阪事務所長になりました。当時の大阪事務所は30名ほどで、平均年齢32歳の若い会社でした。そこで1990年4月に同友会に入会し、初めの10年は一会員として全国研究集会などに出るものの、役員としての活動は一切していませんでした。
ところが2000年に初めて支部例会で経営報告することになり、それがきっかけで支部の活動にかかわるようになりました。当時は大阪事務所長として、事務所の移転、営業基盤の強化、組織体制の整備、人材の確保と教育など経営の仕事を、同友会で学んだことを試行錯誤しながら実践しました。
 その後2007年に社長になり、京都(本社)、大阪、東京、名古屋にある事務所を統括して全社の経営に責任を負うことになりました。アルパック40周年を記念するフォーラムの開催や「地域のチカラ」(自治体研究社)の出版など対外的な情報発信に力を入れるとともに、社員との対話を基礎にした評価制度の確立など経営課題の解決に奮闘しました。経営課題の解決には、全国総会や全研、大阪同友会での同友会活動の学びを生かすようにしました。2012年に会長となり、同友会の活動に加えて、京都商工会議所、都市計画コンサルタント協会の役員として、対外的な活動に力を入れています。同友会では生きた経営を知ることができました。同友会の会員企業50社を訪問してわかったことは、個性豊かな経営者と多種多彩な中小企業が、地域経済を担っているという事実でした。それらは同友会に入っていなければ体感できなかったと感じています。

同友会での中小企業憲章推進の取り組み
 2007年に支部を飛びこえて本部の憲章条例推進部に誘われ、2008年には中小企業憲章の草案づくり、2010年には大阪府の中小企業振興条例の制定にかかわりました。2011年に国会議員会館で行われた「憲章・条例推進キックオフ会議」へも参加し、それ以降は毎年参加しています。大阪府でも中小企業振興条例の制定をきっかけに、これまで大阪府下14の自治体で振興条例が議決されました。本部の憲章条例推進部長になって、振興条例を生かして地域やまちを活性化していくため、地域づくり・まちづくりに力を入れてきました。このことは、アルパックでやっている仕事とも共通する面があります。中同協主催の海外視察では、2008年にブリュッセル(ベルギー)、ヘルシンキ(フィンランド)に行くことで「憲章」に対する見方が変わりました。参加したメンバーの方々に憲章の大切さを教えられ感銘しました。世界の中で日本がどんなポジションにいるのか、海外から見ると日本や大阪のことがよくわかりました。
アメリカは大企業中心の社会に見えますが、ベンチャーを含めた中小企業を育てる仕組みがあります。アメリカの連邦中小企業庁(SBA)では、中小企業に光を当てる取り組みとして、意欲と能力のある人をサポートする仕組み、失敗しても何度でもチャレンジできる制度があります。

〜取材を終えて〜
 正直なところ取材前に杉原さんのことは全然知らず、顔とお名前くらいで仕事は都市計画コンサルタント、そんな知識の中不安を感じながら、訪問しました。ところが、記事の中にあるように人の話を聞いて課題を抽出することを仕事にされているせいか、お話し上手で私のような勉強不足な者でもわかりやすく聞くことができました。ここには書ききれないほどたくさんの地域おこしや復興まちづくりに参画されています。それらが紹介できないのは残念ですが「地域の課題解決をする企業」で、社会貢献した結果、感謝され、その対価が売り上げにつながる同友会の見本のような企業でした。アルパック創業50周年を取材した京都新聞経済部の記者が杉原さんの会社・アルパックを取材して「未来のまちをデザインする企業」だと書かれています。情報化広報という立場ですばらしい企業を訪問できたことに感謝します。
(文:情報化・広報部 荒田 写真:田村)

Profile

企業名:株式会社 地域計画建築研究所(アルパック)
会員名:代表取締役会長 杉原 五郎
本  社:京都市下京区
大阪事務所:大阪市中央区今橋
創  立:1967年
資 本 金:5,000万円
年商(契約額):11億円
社 員 数:67名(正社員)+10数名(常勤パート)
業務内容:シンクタンク、都市計画コンサルタント、建築
設計に関する業務

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