
(株)すえひろコーポレーション 竹田 守氏 (大阪北ブロック・北摂支部)
畳のにおいが好きだから 〜伝統の畳を未来に伝えたい〜
畳はすべてオーダーメイド
伊丹市の住宅街に畳製造工場とお店があります。社長の竹田さんは、以前、運送会社に勤務していました。その時、お客様からよく畳の配送を頼まれました。畳の原料である藺草(イグサ)を扱う材料屋さん、畳を縫う畳屋さん、そうした当時のお客さんを行き来するうちに畳が好きになり、畳の販売を始めました。ある日、チラシ広告をだしてみるとたくさんの注文が入りました。「これならいける」と開業を決意したのが1995年7月。開業当初は、畳屋さんに畳を縫ってもらい販売していました。しかし、畳屋さんは、当然のことながら自分の仕事を優先します。トラックに何日も材料を積んだまま待機することも多く、自分で畳を製造する決意を固めました。
畳の製造法は、導入した機械屋さんから習いました。通常、一人前の畳職人になるには、三年はかかるそうです。竹田さんは、注文を受け製造を繰り返す中で短期間で腕を磨きました。多くの消費者は、畳の大きさや形はすべて一緒と思っています。実際は、それぞれの部屋には、歪があり大きさや形は一定ではなく、すべてオーダーメイドです。「寸歩が測れれば一人前の職人」と言われるのは、こうした理由からです。一枚一枚大きさや形が微妙に違う畳は、今でも寸尺法が使われています。ミリ単位だと微妙にうまくいかないそうです。
日本産のイ草使用を意識的に
畳のある部屋が減り、畳業界は廃業が多く、日本全体で近年は一年間に約千件程度が廃業や倒産に追い込まれています。また、原料のイ草は、80%が中国産です。日本の農家が衰退し日本産だけでは需要に追いつきません。国産の方が質もよく値段も高くなります。こうした事情からどうしても中国産を使うことが多くなりますが、意識的に日本のイ草農家を守る観点から、お客様に日本産を薦めています。
地域一番店をめざして
同友会に入会し例会に参加する中で、これまで考えていたことの正しさを実感するようになりました。それは、地域一番店をめざすことです。これまでの商売は、チラシ広告を打つことで売上を確保してきました。しかし、三年程前からチラシの効果が減少しました。広告料に見合う売上が上がらないのです。そこで、強化したのが近所のお客様、リピート客を大切にすることです。その点で接客が大事だと実感しています。他人の家に上がらせてもらい、床下まで見せてもらい、最後に「ありがとう」と言ってもらえる。こうした仕事に誇りを感じています。ただ畳や襖や障子を売るのではなくお客様との気持ちのやりとりをベースに考えています。最近、あるお客様から長文のお礼の手紙をいただきました。接客態度が良かったことや納期のことなどが書かれた内容でした。「とてもうれしくて毎日鞄に入れて持ち歩いています」と語る竹田さんから笑顔がこぼれました。
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